CIEM,カスタムIEM,イヤモニのアレコレ雑感
移転しました。
CIEM,カスタムIEM,イヤモニのアレコレ
プロはライブでCIEMを使ってる(人もいる)というのは周知の話ですが、実際のところプロ達はどのように使用しているのでしょう?
通常、サウンドモニター用のPAミキサーからワイヤレスの送信機に信号を送りそこからアーティストが装着している受信機に電波で信号を送ります。
PA卓から出た時点で音のバランスは調整してあってハイハットを強めに返してとかドラムのキックを強く返してとか自分の声をもう少し返してとか要望を出してさらなる調整をするわけです。
その信号を受信機内のアンプで増幅してそこに繋がっているイヤモニでその音を聴いているわけです。
仕組みとしてはワイヤレスという部分を除けば音楽信号→ポタアン→イヤホンという形とそう変わりません。
ドラマーの場合は状況にもよりますが、打ち込みなどの音と同期をとるためにMTRとかDAWをセッティングしたノートPC直orオーディオインターフェースを繋いでそこにイヤモニを接続して直にクリック音と流す音だけをモニターして他の音は従来のコロガシのモニタースピーカーから音を返してもらっていたりという事もあります。
それでこの肝心の受信機についてです。
アンプとしての性能は今時の安いポタアンに遥かに劣る性能となっています。
受信機自体が小型なので(大きいと演奏するのに邪魔)仕方ない事だと思います。
周波数特性も35Hz~15kHz (+/-1dB)だったりクロストーク特性が60dbだったりダイナミックレンジ(S/N比)90dbだったりTHDが0.8%だったりと出力インピーダンスも高かったりと今市販されてるDAPやポタアンの性能を知ってる人からしたらがっかり性能でしょう。
出力も32Ω: 100 mW @1kHz
とそこまで大きいものではありません。
イヤーモニター側を音量が低いと周囲の演奏に負けてきちんとモニターできないという事もあるかと思います。
なのでイヤモニは能率が高く音量がとりやすいものが多いわけですね。
ワイヤレストランスミッターを通しての音で演奏する事(ライブモニター)用に特化して作っているので音量が足りなくてモニター出来なくては話にならないわけです。
こういう過程からで生まれたものなので正直音質最優先で作っているものではないのでしょう(そもそもがワイヤレスですし)
近年では演奏用途以外のイヤーモニターも出てきているので、それらは音質を追求し始めたリスニング用のカスタムと思ってもいいでしょう。
ライブをやったりしない人が作る場合はそちらの方がオススメです。
実際にあるものだとJH AUDIOのレイラではリスリングではなくマスタリングクオリティを謳っていますね(実際にマスタリングでイヤホンをメインで使うエンジニアは見たことありませんが)
レイラをライブモニターとして使えばよりよい音で聴くことは出来そうですが、多ドライバゆえに故障とかも心配ですしサブを用意するのは難しいし何かあった時の対応を考えると国内メーカーで作るアーティストが多いのも納得です。
私の主観ではリスニング用カスタム>演奏モニター用カスタムという図式なのですが、実際にライブ用途で生まれたはずのUE5PROなんかを普通にDAP直やポタアン繋いで聴いてみるとこれがまた結構いい感じで聴けるので私は好きなのですが純粋に質を求めると物足りないと感じる部分があるわけです。
今の市場を見ていると音楽をやらない人がカスタムIEMを作っている大半のように感じるのでメーカーも昔の5PROとはチューニングを変えてきているとかもあるのでしょうか?音がよくなるのは歓迎です。
カスタムを作るにあたって理由のひとつによくある、自分の好きなアーティストが使っているからという理由で同じものを選ぶような人は少ないかもしれませんが危険な思考ですね。
なぜならそのアーティストは市販価格の半額もしくはタダで作ってもらっているから使っている可能性があるからです。
いくらタダで作ってくれても問題ありの製品は使わなくなります。
とあるメーカーが大量にタダでCIEMをばら撒いた事があるのですが、複数のアーティストで同時期くらいに故障したり不具合が出たりとして今ではそのメーカーのものは使われていません。
こういう業務用製品は信頼が第一です。
これは問題のある製品だったのでこういう結果になったわけですが…
これがタダで貰えて問題なしの製品だとしたら…?
当然皆使い続ける事でしょう。
あくまでモニター用としてであって音楽鑑賞用の音質がいいからという理由ではないのです。
どちらにしても音を聴いて選択しているなら後悔する事も少ないでしょう。
あくまで音で選ぶ事が重要なのでしょう。