B.A.L

旧Belltone Audio Lab.

Belltone Audio Laboratory Twitter:@belltoneaudio ポータブルオーディオにまつわる日々

■国内最安29800円!2BA CIEM 「Miro-KS2D」 はじめてのカスタムイヤーモニター制作の巻 /B.A.L レビュー 追記アリ

移転しました。

 Miro-KS2D(Sonion 1723 Acupass 2BA)29,800-

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■初カスタム制作■

オーオタの方なら一度はカスタムIEMに憧れを抱くものではないでしょうか?
私自身もそうですが実際作ろうかと思うと、そこには色々と心配がつきまとうものです。
ユニバーサルのIEMは音が気に入らなくなれば売る事も出来ますがカスタムの場合は雀の涙の買い取り金額… 

そしてフィットが合わない場合は送り直して調整してとしますが、一度でばっちりのフィット感になるとは限らず海外の場合、往復一ヶ月して修正してと気付けば満足いくフィット感を得るのに半年もかかったとかそういう話も耳にします。

 

国内の場合でしたらそこは多少安心ですが、納期に時間がかかったりと懸念は尽きないですし、カスタムIEMというのはそれ自体がそれなりの値段がしますよね。

 

海外メーカーのAAWのA1Dというダイナミックドライバ一基のカスタムはお値段は三万ちょい+インプレッション代で納期は4ヶ月…
国内メーカーのCANALWORKSのシングルBAの機種でも57000円+インプレッション代で納期は2ヶ月と結構かかります。

 

その辺を考えるとカスタムは欲しいけど…と後ろ向きな気持ちになってしまっていたのも事実ですね。

 

そこで現れたのが今回のカスタムです。

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■価格等■

スペックは2BA(Sonion 1723)
気になるお値段は29,800円(税抜き)
+インプレッション採取は無料(店頭でのみ)
端子はT2(MMCXも選択可能)
T2ケーブルはEstronのケーブルが付属

 

安くないですか?

 

Sonion 1723 Acupassを搭載しているカスタムは色々とありますが国内ですとearmoのTune5が同系統のアキュパス使用で63,720円(税込)ですしカナルワークスのCW-L12aもそれ以上のお値段です。

 

IEMを構成する要素はドライバー以外にもネットワークや音導管や音響フィルターやと他にも色々な要素がありますからドライバが同じ=同じ音というわけではありませんが半額以下というには魅力的ですね。

 

Sonion 1723 Acupassというのは1700と2300という別々のBAを合体させてあるBAです。
ネットワークを通じそれぞれのBAのに入力→アキュパスフィルターを通じ出力とTweeterとWooferをまとめたもので音も良いので結構いろいろな機種で使われています。

 

Sonion 1723 Acupass搭載のカスタムでインプレ代なくて三万は安いな。安いだろ。欲しいなと思ったわけです。


ただカスタムともなると安いだけでは不安ですよね。

 

制作は個人ではなく国内の補聴器屋で制作されているもので保証関係もきっちりしている(ここ大事)

補聴器屋なのでその関係で使用できる物を使用しているので安価に出来る。

製作者の方は元は補聴器の製造責任者でカスタム制作業務は2014年から行ってきているという事もありしツイッター上でも制作したものを見かけたりしていて安心感があったので視聴をしないまま購入を決めました。
※試聴機のレンタルもあるそうですが順番待ちでしたので店舗直行。

 

■店舗にて仕様選択■

翌日朝には電話して東神奈川駅から徒歩数分の店舗まで一時間ちょっとかけて行って一週間程度で完成しました。

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こちらの画像は店舗で見せて頂いたBAやサンプル等の写真になります。

現在は2BAと4BAのIEMのみですか6BAも開発中との事です。

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上の方にも書いてありますが
2BA-29,800 円(税別)
4BA-59,800円(税別)
6BA-制作中につき未定
ケーブルはestron linum T2仕様。
MMCXの場合はケーブル無しでお値段据え置き。

 

半田は全てSS47でドライバーの半田も一回半田吸引してから盛り直すというこだわりっぷりです。

試聴機を聴いた印象としては2BAは低音の強いピラミッドバランスで4BA→6BAとなるにつれて全体のバランスが整ってきた印象を感じました。

 

そして選択の時です。

最初から2BAと決めていたので、今回は2BAで。

 

ソケットは基本はT2を奨めているが、MMCXでも対応可能という事で手持ちのMMCXケーブルを使いたかった私はMMCXを選択しました。
この時はケーブルなしで-5000円でした。
という事で私は今回24,800(税別)での購入額でした。
※2017年からはケーブル無し時の割引はなくなります。T2はEstronケーブル付属でMMCXはケーブル無しという事です。

 

フェイスプレートはノーマル・ミラー・カーボンにウォッチコンポーネント的なオプションもありこちらのオプションは現在無料という事でカーボン+ウォッチコンポーネントに。

 

シェルは最初は黒いスモークでいいかなと思っていたのですがこちらのサンプルを見て青と赤を選択。
シェルはスパークル?ラメ?を大・小をシェルに混ぜる事が可能で小を使用したラメラメのシェルでオーダー。

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アートワークやフルシリコンシェルは今後対応可能になるかもしれないが現在は未定との事です。
どちらも対応してくれたらまた作りに行っちゃいますね。

 

そしてそのままインプレッション採取(無料)を開始して15分程度で採取を終えました。わりばし使用です。
こだわる方はバイトブロック等用意してから行くのをオススメします。
インプレ採取は人によっては違和感を感じるという話も聞いていたのでどうなることやら!?と思っていましたが、普段から遮音性の高いイヤホンを使用していれば違和感は感じないだろうなと思いました。

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そして採取を終え店舗を後に…

制作工程の報告の連絡を受けつつもだいたい一週間程度で到着しました。

 

■到着&チェック■

初めてのカスタムなのでしどろもどろになりながら装着。
装着は出来ましたが印象としてはかなりきついと感じました。
カスタム自体がこういうものなのかなと思っていましたが、異物感は半端なかったです。
実際のカスタムの音の印象はローがすごい!と感じました。
それからしばらく音楽を聴いたりギターを弾いたり、イヤモニ的に装着してギター弾きながら歌ったりしていましたがきついというよりは痛いという感覚でしたので翌日朝一で店舗まで伺い痛い箇所等伝えて対応をお願いしました。

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再度到着までは3,4日程で手元に届きました。
この間に使用している音響フィルターについても相談させて頂き、通常680Ωの音響フィルターを使用している部分をちょっと変更して頂きました。

具体的に言えば音響フィルターを外してもらいました。

というのも明らかにハイが足りていないと感じたからです。バランス的にはかなりローが強く時点にミッド、かすかにハイというバランスに私の耳では聴こえました。

ただしフィルター自体はもう取り付けてあるので網の部分を外す事なら出来るとのことでしたのでそれをお願いしました。

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↑白いのは耳垢ガードです

 

■完成&レビュー■

新しく届いたものはフィットとフィルター部分と2つの違いがあるのですが音の方も大きく変化した印象がありました。

フィットに関しては痛いと感じる事は完全になくなりましたが、その分ローもなくなってしまいました。
開封最初の印象はローが結構かなり減ったもののバランスとしてはこちらの方が良いと感じました。
数日と使用しているうちに全体的に不満もなくなり良い感じのピラミッドに感じます。
今はあとちょっとハイが欲しいですね。
4BAや6BAの試聴機ではそれがあったような記憶があります。

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音場の広さは左右特に広くもなく狭くもなくですがDP-X1でバランス接続で使用すると、その印象も変わりサウンドステージが広くなりイヤホン自体がグレードアップしたかのように私は感じました。
バランス接続もイヤホンによってはあまり効果が感じられなかったりする場合もありますがこれは違いを感じられると思います。

ただ難点といいますかこれはドライバー自体の話ですが音量を結構あげると結構な勢いで音が歪んでいきます。
Dragonfly REDの7割くらいDP-X1のバランスで130くらいではもう歪んでいます。
これはシングルBAのイヤホンや同じ1723の2BAを積んでイヤホンでも同様ですが、仕方のない事でもあるので歪む手前の音量からは音をあげない、そもそもカスタムなのでそこまであげなくても充分として精神的対処をしました。
JH AUDIOなんかは同じ帯域に4つの特注BAを割り当てて歪率をさげたり高域を伸ばしたりとしていますね。


総合的にはいわゆるAcupassの音なのですがカスタムなのでフィット具合によって実際の音の感じ方が変わってくると思います。
とここまで書いていて良い部分ももう一歩という部分もありますが、正直この価格でカスタムでこの音でとなると代替えはなくかなり満足度は高いと思います。
よっぽどの尖ったイヤホンじゃないとこの価格帯以下のユニバーサルイヤホンはもういいかな…と私は思っていたりします。

高校生の初のアルバイト代でも買えるカスタムを目指したとの事ですが、これは高校生だけに留めておくのはもったいないと思います。
安価な価格でカスタムを作れてスペック的にもお値段以上ですから。

 

ただ惜しむべきはブランド性ですね。
商売下手というかブランディングが下手というかもっとこの安くて良いカスタムを皆知ってほしい、売れてほしいと思いました。
ちなみにKitagawa sound systemがブランド名
Miro KS2DというのがこのIEMの型番です。
KSというのは多分Kitagawa soundの略でしょう。
型番にまで入れなくてもいいんじゃないでしょうか…
むしろMiroをブランド名にしてKS●Dとかにしてはどうでしょう。
ただ末尾がDだとダイナミックなのかな?という印象も与えそうなのでその辺よく考えてみてもらいところでもありますね。
現在は小規模展開で専用サイトも現在制作中という事ですが色々と相当もったいないなと思います。

本家の補聴器屋のサイトでもカスタムイヤホンを扱っているページはあるのですが、あまりに簡素すぎて本当に売りだす気があるのかな?と泣けてきます。

この会社は商売っ気がないのか!?と良心的な値段からも伺う事が出来ますが、良い物を作っているのですからもっと大々的に売り出してもいいんじゃないかなと私は思います。むしろ売り出して欲しいです。

例えば●●ears/KS02とかしてかっこいい写真を撮ってFitearのようなサイトを作ってメディア媒体への広告も出してとすればIEMメーカーとしてもそれだけで知名度も印象も変わります。

ただそうなると予算もかかりますから、現在の価格を維持出来るかどうかは怪しくなってくると思いますので知る人ぞ知る優良メーカーのままでもいいのですが…

少なくともこのブログを見てくれている方には知ってほしいしまだカスタムを作った事ない人は是非作ってみてほしいと思います。

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Kitagawa sound system
Miro-KS2D
Sonion 1723 Acupass(2BA)
29,800(税別)

付属品は箱の中にマカロンケース(色選択可能)、交換用耳垢ガード、クロス、保証書です。

 

初めてなら絶対に「買い」のカスタムと太鼓判を押しておきます。
製作者の方も常に店舗にいるわけではないようなので
店舗に行かれる時は事前の電話予約をしておいた方が良いでしょう。


■店舗情報■

アルファデシベル 東神奈川店
〒221-0044
神奈川県横浜市神奈川区東神奈川 1-11-7 マリンアベニュー1階

問い合わせ先
TEL
0120-033-241
(平日 09:00~18:00)

FAX
045-442-0888
(24時間受け付け)

製作者の堀山さんのtwitter

 

■2017/04/19 追記■

CIEM制作してから四ヶ月くらい経った頃でしょうか?
日常的に使っているのですっかりカスタムにも馴染んで日々音楽を楽しんでいます。

以前あとちょっとハイが欲しいと書きましたが、色々とリケーブルしてみた今もその気持ちは変わりません。
JHとか全体のバランスがまとまっているイヤホンと比べると明らかにハイの印象が違いすぎるの(物足りないと感じる)でこういう個性のイヤホンなのでしょう。
UE5Proを聴いた時に感じていたロックとかクラブ系のサウンドをノリノリで聴くのにいいです。


単純に音だけで言えば他にいいイヤホンがあるのですがやはりカスタムの装着感は特別ですし手放せませんね。
あれから売れ行きの方も好調のようで日々忙しそうで余所目ながら心配しています。

そして新製品の6ドラも登場したようです。
2BA~の型番は変わったようですが仕様等はそのままとの事です。

 

-現在の取り扱い商品-
Miro KM-2 (2way2ドライバー)
¥29,800~(税別)

Miro KM-4 (3way4ドライバー)
¥59,800~(税別)

Miro KM-6 (3way6ドライバー)
¥89,800~(税別)


端子がMMCXの場合はケーブル無しの価格、T2の場合はEstron Bax T2が付属の価格です。

ただし現在の納期は紹介当時とは変わって四ヶ月かかるとの事。(2017/4月)

 

紹介当時の2週間程度の納期+この価格でカスタムIEMが作れるというのが個人的なプッシュポイントでした。
他メーカーでオーダーする場合は大抵三ヶ月以内ですから、それよりも納期がかかるというのは個人的には結構なデメリットに感じます。

 

・価格が安いというメリット
・納期が遅いというデメリット

そして商品のクオリティは?

 

あくまで私の2BAのカスタムと同価格帯のユニバーサルのイヤホンとを比べてなのですが、音だけの判断では価格なり+αのクオリティかなと私は感じています。

仮にこの2BAが5万円~なら四ヶ月待ってまでは欲しいとは思わないでしょう。

以前は、納期が早くてこの価格なら絶対お得!というものでしたが、4ドラ6ドラとなるにつれて値段も高くなってきます。

 

初めてのカスタムIEM、高校生の初めてのバイト代でも買える値段でというコンセプトは大変素晴らしいものと思っていますが、それに対して史上最高の音、クオリティを求めるのは酷な事ですし、そこは当然ご理解をして買うものと思っています。

なので2BAは価格とのマッチングがとれていると感じますが、4BA以降のものは価格以外の点では正直オススメは出来ません。

 

相対的に見て他メーカーよりも安いのは間違いないのですが、二個目のカスタムである程度の値段を出すならもうちょっと頑張って他メーカーでカスタムを作ろうかな…と私なら考えます。

 

以前は…
○安い ○納期早い

現在は…
○安い X納期遅い

 

カスタム制作と言っても慈善事業ではないですし、利益を追求するのは企業としては至極当然の事なのですがその価格に対する「音」のクオリティが今はまだ見合っていないと私は感じています。

その理由としては音に対しての各メーカーならではの独自性というものを感じません。

最先端のCIEMメーカーだとそのメーカーならではの独自技術が込められていたりするものですが、まだその域には達していないだろうと私は感じています。
これはあくまで音に限った事でフェイスプレートやシェルでは様々な挑戦をしているので全部込みで考えるとお値段以上と言えるでしょう。


ただ結構いい値段をするのにいまいちなイヤホンも少なくないですしBAの数だけで音やクオリティが決まるわけではないのですが、あくまで音を聴くためのものなのでまずは「音重視」で考えて実際に足を運び聴いてからのオーダーをオススメします。

 初めてのカスタムで予算もそれなりにある大人の方でしたら4BA,6BAもありですね。